こんにちは、元芸能事務所マネージャー兼アパレルブランド広報の佐藤です。「モデルを起用したいけど、どうやって依頼すればいいの?」「料金相場はどのくらい?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
私はこれまで芸能事務所でのマネージャー経験、アパレルブランドでモデルをキャスティングする側の経験、そして現在はメディア側としてモデル業界と関わってきました。その経験をもとに、モデル依頼の基本から実務まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。この記事では、モデル依頼に関する各種の情報をカテゴリごとに整理して提供します。
費用はいくらかかるのか?どうやって頼めばいいのか?注意すべきポイントは何か?この記事を読めば、そんな疑問が一つひとつ解消されるでしょう。
モデルの種類と特徴を理解しよう

まず最初に、モデルにも各種の種類があることを知っておきましょう。依頼先を選ぶ際の参考になります。
事務所所属モデルとは
事務所に所属しているモデルたちは、一般的に信頼性と実績が高いという特徴があります。私が芸能事務所にいた頃は、所属モデルのスケジュール管理から契約交渉、トラブル対応まで、徹底した管理体制を整えていました。
事務所所属モデルの強みは以下の点です:
信頼性が高い(契約不履行などのリスクが低い)
プロ意識が高く、現場での対応力がある
事務所がバックアップしているため安心感がある
一方で、費用は比較的高めになります。事務所への手数料も含まれるためです。しかし、その分、人としてのマナーやビジネスシーンでの立ち振る舞いなど、プロとしての対応が期待できます。
フリーモデル(フリーランスモデル)とは
フリーモデルは事務所に所属せず、個人で活動しているモデルのことです。私がアパレルブランドの広報をしていた時は、予算の都合でフリーモデルを起用することも多くありました。
フリーモデルの特徴は:
料金相場が比較的抑えめ
柔軟なスケジュール調整が可能なことが多い
直接コミュニケーションが取りやすい
ただし、契約面での注意点もあります。事務所のような管理体制がないため、契約内容の確認や肖像権の取り扱いなど、細かい点まで双方で明確にしておく必要があります。フリーモデルを依頼する際は、書面での契約を必ず交わすことをお勧めします。
インフルエンサーモデルとの違い
近年増えているのが、SNSでの影響力を持つインフルエンサーモデルです。従来のモデルとは少し異なる特性を持っています。
インフルエンサーモデルの特徴:
SNSでの拡散力が強み
自身のフォロワーに対する影響力がある
広告との親和性が高い
ただし、「モデル」として依頼する際には注意点もあります。インフルエンサーの中には、ポージングや表現力といったプロのモデルとしてのスキルを持っていない人もいます。また、肖像権の取り扱いや使用範囲についても、通常のモデル契約とは異なる場合があるので、事前の確認が重要です。
モデルを使用する場面
モデルを使用する場面では、依頼の言い換え表現を適切に使うことが重要です。ビジネスシーンでは、より丁寧で柔らかい言い回しが求められることが多く、「依頼」の言い換え表現を覚えておくと便利です。以下に、代表的な言い換え表現とその使い方を紹介します。
「ご依頼」「ご用命」「ご要望」などの表現を適切に使い分けます。
例文:恐れ入りますが、資料の確認をお願いできませんでしょうか。
依頼のモデルを使用する際には、状況や相手に応じて適切な表現を選ぶことが重要です。目上の人や取引先に対しては、直接的な「依頼」よりも、より丁寧な「ご依頼」「ご要望」「ご用命」などの表現を使うことが推奨されます。相手に対して敬意を表すことで、ビジネスの信頼関係を構築しやすくなります。
モデル依頼の流れ

それでは、実際にモデルを依頼するプロジェクトの流れを見ていきましょう。各ステップを丁寧に解説します。
モデル依頼においては、タスクの割り当てが重要です。適切なタスクを依頼することで、期待通りの結果を得ることができます。
Step1:目的と条件の整理
まず最初に、なぜモデルが必要なのか、目的と条件を明確にしましょう。私が広報として働いていた時は、この段階で予算と目的を明確にすることで、後々のトラブルを防げた経験が多くあります。
具体的に整理すべき項目:
撮影の内容(商品撮影、広告用、イベント出演など)
希望するモデルのイメージ(年齢層、雰囲気、経験値など)
予算(時間単価か日給か、使用範囲も含めて)
撮影場所(スタジオか屋外か)
撮影日時と拘束時間
これらを明確にしておくことで、依頼するモデルや事務所とのミスマッチを防ぐことができます。特に予算については、後で「思っていたより高かった」というトラブルにならないよう、事前にリサーチしておくことが大切です。
Step2:依頼先を選ぶ
条件が整理できたら、次は依頼先を選びます。主な選択肢は以下の3つです。
モデル事務所への依頼
メリット:信頼性が高く、質の高いモデルが揃っている
デメリット:費用が比較的高め、手続きが少し複雑
フリーモデルへの直接依頼
メリット:コストを抑えられる、柔軟な対応が可能
デメリット:信頼性の確認が必要、契約面での注意が必要
モデルマッチングサービスの利用
メリット:多様なモデルから選べる、比較検討がしやすい
デメリット:品質にばらつきがある場合も
私の経験では、初めてモデルを依頼する場合は、手続きは少し複雑でも信頼性の高い事務所を通すことをお勧めします。何度かモデル依頼の経験を積んでから、状況に応じてフリーモデルやマッチングサービスを検討するといいでしょう。
Step3:問い合わせと条件交渉
依頼先が決まったら、具体的な問い合わせと条件交渉に入ります。事務所の場合は、通常以下の情報を提示します:
撮影の目的と内容
希望する日時と拘束時間
提示できるギャラ(予算)
使用媒体と期間
希望するモデルのイメージや条件
他人への依頼となるので、丁寧な依頼文で正しい言葉の使い方を心がけましょう。ビジネスシーンでの「お願い」の言い方は非常に重要です。例文を示すと、以下のような文面が適切です:
〇〇事務所 ご担当者様
初めてご連絡させていただきます。株式会社△△の佐藤と申します。
この度、弊社の新商品カタログ撮影のためのモデルを探しており、
貴事務所に相談させていただきたくご連絡いたしました。
■撮影概要
・目的:ECサイト商品撮影
・日時:2025年5月15日(木) 10:00〜17:00
・場所:東京都内スタジオ
・ギャラ:30,000円(税込)/日
・使用範囲:弊社ECサイト、SNS(期間1年)
20代後半〜30代前半の女性モデルで、ナチュラルなイメージの方を
希望しております。
ご検討いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
このように、具体的な条件を明示し、ビジネスとしての依頼内容を丁寧に伝えることが大切です。
Step4:契約と注意事項
条件交渉が終わり、モデルが決まったら、契約の段階に入ります。この段階で最も重要なのは、書面での合意を取ることです。
契約書に含めるべき主な項目:
モデルの氏名と連絡先(事務所の場合は担当者)
撮影日時と場所
ギャラ(金額、支払い方法、支払い日)
肖像権の使用範囲と期間
キャンセルポリシー
特に肖像権の使用範囲については、明確にしておくことが非常に重要です。「ECサイトのみの使用」なのか「SNSでも使用可能」なのか、使用期間は「1年間」なのか「無期限」なのかなど、細かく明記しておきましょう。
また、ビジネスシーンでの信頼関係を築くためには、契約書だけでなく、日々のコミュニケーションも重要です。私の経験では、モデルや事務所とのやり取りは常に丁寧に、そして迅速に対応することで、良好な関係が構築できました。
モデル料金の相場を徹底解説

モデル依頼を考える上で、最も気になるのが料金相場ではないでしょうか。用途別に具体的な相場を解説します。
料金相場を理解するためには、詳細なレポートの作成が重要です。レポートを通じて、依頼内容や必要な情報を明確に伝えることができます。
ジャンル別・モデル相場表
用途 | 相場(目安) | 備考 |
---|---|---|
ECサイト商品撮影 | 5,000〜20,000円/時間 | フリーモデル起用で低価格も可能 |
広告(紙・Web) | 3万〜10万円/日 | 撮影+肖像使用料が含まれる |
イベント・展示会 | 2万円〜/日 | 対面対応あり/拘束長め |
SNSタイアップ投稿 | 1投稿1万〜10万円以上 | フォロワー数・反響で変動 |
この表はあくまで目安であり、モデルの知名度や経験によって大きく変動します。例えば、人気モデルともなると、一日のギャラが数十万円になることも珍しくありません。
私がアパレルブランドで働いていた時は、新人モデルを起用することで予算を抑えつつも、良い撮影結果を得られた経験があります。モデルの人気や知名度だけでなく、撮影内容に合ったモデルを選ぶことが重要です。
相場に影響するポイント
モデル料金の相場に影響する主なポイントは以下の通りです:
撮影内容と使用期間
商品撮影よりも広告目的の方が高額になる傾向
使用期間が長いほど料金が上がる
掲載媒体の規模
自社サイトのみの使用と、全国展開の広告では料金差が大きい
SNSのみの使用は比較的低価格
モデルの経験・人気度
新人モデルとベテランモデルでは大きな料金差がある
SNSのフォロワー数も料金に影響
交渉力と関係性
継続的な依頼があれば料金交渉の余地も
これらの要素を考慮し、自社の予算と目的に合ったモデル選びをすることが大切です。
モデルを依頼する際の注意点

モデル依頼という行為をスムーズに進めるためには、いくつか重要な注意点があります。私が芸能事務所やアパレルブランドで経験した実例も交えながら解説します。
契約内容の確認ポイント
モデルとの契約で特に確認すべきポイントは以下の通りです:
使用期間と範囲の明確化:「ECサイトのみの使用」「カタログ掲載可」「SNS投稿可」など、具体的に明記しましょう。私が経験した中で最も多いトラブルは、この使用範囲の認識の違いから生じています。
料金体系の確認:時間給なのか日給なのか、拘束時間の延長があった場合の追加料金はどうなるのかなど、細かく確認しておくことが重要です。
キャンセルポリシー:撮影直前のキャンセルはどうなるのか、天候不良の場合はどうするのかなど、万が一の場合の対応も事前に決めておきましょう。芸能事務所では通常、キャンセル料の規定が明確に定められています。
交通費・経費の負担:遠方からのモデル依頼の場合、交通費や宿泊費の負担も明確にしておく必要があります。
契約書は法的な保護のためだけでなく、お互いの認識を合わせるための重要なツールです。私が広報として働いていた時は、口頭での合意だけでなく、必ずメールでの確認と契約書の取り交わしを行っていました。
肖像権と二次利用の注意
モデル撮影で特に注意すべきは肖像権の問題です。モデルの写真は「フリー素材」ではないということを強く認識しておく必要があります。
契約外での使用は絶対NG:例えば、ECサイト用に撮影した写真を、後から広告に使用するといった行為は肖像権侵害になります。
SNSでの使用も要注意:「撮影した写真を会社のSNSに投稿したい」場合も、事前に合意が必要です。私の経験では、SNSでの使用を明記せずに投稿してしまい、モデルから抗議を受けたケースもありました。
使用期間を過ぎた写真の扱い:契約で定めた使用期間を過ぎた場合は、写真の使用を中止するか、再度許可を取る必要があります。
こうした肖像権の問題は、モデル側にとって非常に重要な問題です。他者の肖像を扱う仕事だということを常に意識し、丁寧な対応を心がけましょう。
言葉の選び方・依頼のマナー
ビジネスシーンでモデルに依頼する際の言葉遣いやマナーも重要です。特に日本のビジネス環境では、丁寧な言い回しが信頼関係構築の基礎となります。
「依頼」の丁寧な言い換え表現:「依頼させていただきたく」「お願い申し上げます」など、敬意を込めた表現を使いましょう。
指示ではなくお願いの姿勢:現場でのディレクションも「〜してください」ではなく「〜していただけますか」という表現が適切です。
感謝の気持ちを伝える:撮影終了後には必ず感謝の言葉を伝え、後日メールやメッセージでもお礼を伝えると良いでしょう。
私がマネージャーをしていた頃、丁寧な言葉遣いとコミュニケーションを心がけたクライアントとは継続的に良好な関係を築くことができました。逆に、命令口調や高圧的な態度のクライアントは敬遠されがちでした。
プロ目線で教える:コストを抑える依頼テクニック

予算に限りがある中でもクオリティの高いモデル撮影を実現するためのテクニックをご紹介します。
同僚に何かを頼む際には、カジュアルで柔らかい表現として「お願い」という言葉を使用することが適しています。目上の人や取引先にはフォーマルな「ご依頼」を使うべきです。
新人モデルの起用でコストダウン
新人モデルは経験を積むためにリーズナブルな料金で仕事を引き受けることが多いです。もちろん経験不足という面はありますが、フレッシュな印象や柔軟な対応が期待できます。
私がアパレルブランドで働いていた時は、予算の都合で新人モデルを起用することも多くありましたが、丁寧なディレクションを心がけることで満足のいく結果を得られました。新人モデルを探す場合は、事務所に「新人で予算内で対応可能なモデル」を問い合わせるとよいでしょう。
SNS経由でのフリーランス探しの注意点
InstagramなどのSNSを通じてフリーランスモデルを探す方法も増えています。コストを抑えられる一方で、以下の点に注意が必要です:
ポートフォリオの確認:過去の撮影実績をしっかり確認し、求めるクオリティに達しているか判断しましょう。
レスポンスの速さ:初期のやり取りでのレスポンスの速さや丁寧さは、プロ意識の現れです。返信が遅いモデルは撮影当日もトラブルの可能性があります。
契約書の作成:SNSでの依頼でも必ず契約書を作成しましょう。法的拘束力のある書面での合意は必須です。
撮影条件の絞り込みと拘束時間の最適化
撮影内容を事前に絞り込み、効率的な撮影計画を立てることでコストを抑えることができます:
撮影アイテム数の適正化:一日に撮影するアイテム数を事前に決め、無駄な拘束時間を減らしましょう。
事前準備の徹底:ヘアメイクや衣装の準備を効率化し、実際の撮影時間を最大化します。
ハーフデイ契約の活用:4時間程度の短時間契約で料金を抑える方法もあります。
私の経験では、事前準備をしっかり行った撮影ほど効率良く進み、結果的にコストパフォーマンスが高くなりました。特に初めての撮影では、時間に余裕を持った計画を立てることをお勧めします。
よくある質問(FAQ)

モデル依頼に関してよく寄せられる質問にお答えします:
このFAQセクションでは、ビジネスや日常生活における様々なシーンに関する質問にお答えします。
モデルの平均年収はいくらですか?
モデルの年収は活動状況や知名度によって大きく異なります。一般的なモデルの平均年収は約300万円〜500万円程度ですが、トップモデルになると数千万円以上になることもあります。ただし、フリーランスモデルの場合は仕事の安定性に欠けるため、年収の変動も大きいのが現状です。
どうすればモデルをスムーズに依頼できる?
スムーズなモデル依頼のポイントは以下の通りです:
目的・予算・スケジュールを明確にする
依頼内容を具体的に伝える
丁寧な言葉遣いとコミュニケーションを心がける
契約内容は必ず書面で残す
特に初めてのモデル依頼では、事務所を通すことでサポートを受けられるので安心です。
「依頼」の丁寧な言い換え表現とは?
ビジネスシーンでの「依頼」の丁寧な言い換えとしては:
「〜のご検討をお願いできませんでしょうか」
「ご協力いただけますと幸いです」
「〜についてご相談させていただきたく」 などの表現が適切です。指示や命令ではなく、お願いの姿勢で伝えることが重要です。
モデルの契約トラブルを避けるには?
契約トラブルを避けるためのポイントは:
使用目的・範囲・期間を明確に契約書に記載する
報酬や支払い条件を具体的に決める
キャンセルポリシーを事前に確認する
肖像権についての合意を書面で残す
私が芸能事務所で経験したトラブルの多くは、これらの点が曖昧だったことに起因していました。特に肖像権の使用範囲は必ず明確にしておきましょう。
まとめ
モデルを依頼する際は、目的に応じた選択と準備が何よりも重要です。この記事で解説した通り、モデルには事務所所属、フリーランス、インフルエンサーなど様々なタイプがあり、それぞれに特徴があります。
料金相場も用途によって大きく異なりますが、ECサイト用なら時給5,000円〜2万円程度、広告用なら日給3万円〜10万円程度が一般的な目安となります。ただし、モデルの経験や知名度、使用範囲によって変動することをお忘れなく。
また、依頼の際は契約内容の確認、肖像権の取り扱い、丁寧なコミュニケーションを心がけることが、トラブルを防ぎスムーズな撮影につながります。特に「依頼」の言葉の選び方は、ビジネスシーンにおいて非常に重要です。
私が芸能事務所でマネージャーとして、そしてアパレルブランドで広報として経験してきた中で最も大切だと感じるのは、モデルも一人の人として敬意を持って接することです。丁寧な言葉遣いと明確な契約内容が、良い撮影を生み出す土台となります。
正しい知識と準備で、あなたのモデル依頼が成功することを願っています。