学生時代にモデルとして活動する「学生モデル」という選択肢が、近年ますます広がりを見せています。
従来、モデルという仕事は一部の選ばれた人だけの特別な世界で、一般の学生には手の届かない遠い存在だと思われがちでした。
しかし、SNSの普及により状況は大きく変わりました。InstagramやTikTokを通じて個人が発信力を持てるようになったことで、読者モデルやインフルエンサー、アーティストとして注目を集める学生が増え、雑誌やWeb媒体、企業広告への出演機会も多様化しています。
また、「バズる」という言葉が一般的になったように、SNS上で注目を集める学生も現れるようになりました。SNSの力により一晩にして有名人になった事例が拡散されればされるほど、そうした存在がより身近なものとして感じられるのでしょう。
しかし、多くの方は「モデルになりたいけれど、何から始めればいいのかわからない」「学生でもモデル活動はできるの?」と考えているのではないでしょうか。
私自身、学生時代からモデル活動を始め、現在もフリーランスのライターとして芸能界に関わりながら、副業でモデル活動を続けています。でも、モデルとして活動を始めた当初のことを思い返すと、本当に右も左もわからなかった記憶があります。
この記事では、中学生から大学生まで、それぞれの年代に応じたモデルへの道筋を、実際の体験談やリアルな現場の情報を交えながら詳しく解説していきます。
学生でもできるモデル活動の種類から、オーディション情報の探し方、注意点まで、あなたの夢への第一歩をサポートする実用的な内容をお届けします。
モデルという存在がより身近になった今、1人でも多くの人がモデルになるという夢を叶える手助けができたら幸いです。
学生モデルとは?

学生モデルとは、中学生、高校生、大学生といった学生の身分を持ちながらモデル活動を行う人のことを指します。専業としてモデルの活動ができる「プロのモデル」とは異なり、多くの方が学業との両立を前提として活動していく必要があることが特徴です。
私がモデル事務所に所属していた頃、多くの学生モデルと一緒に撮影現場で働いていました。彼らの中には学業との両立に苦労している人も多く、テスト期間中でも撮影が入ってしまったり、授業を欠席しなければならない状況もよく見かけました。一方で、本格的にしっかりと学業とのバランスを取りながら、将来の夢に向けて計画的に活動している学生もいて、その違いは明確でした。
もう一つ、大きな違いがあります。それは法的な制限です。
中学生(15歳未満)の場合、高校生(15歳以上18歳未満)の場合、大学生(18歳以上)の場合の3つに分けてみていきましょう。
中学生(15歳未満)は、労働基準法により原則として労働が禁止されています。そのため、芸能活動を行うには都道府県労働局長の許可と保護者の同意が必須となります。また、午後8時以降の活動は禁止されており、学校教育に支障がない範囲での活動がメインとなります。
高校生(15歳以上18歳未満)になると一般的な労働が可能となります。しかし、午後10時から午前5時までの深夜労働は禁止されています。
大学生(18歳以上)になると、労働基準法上の時間制限がなくなります。より本格的な芸能活動への参加が可能となりますが、大学によっては芸能活動に関する独自の規則がある場合もあるため、事前確認が必要です。
活動スタイルの種類
学生モデルの活動スタイルは、大きく3つのカテゴリーに分けられます。
読者モデルは、雑誌やWeb媒体での紙面モデルとして活動するスタイルです。ファッション誌の読者投稿コーナーや、学生向け雑誌での特集ページなどに登場し、SNSでの発信も積極的に行います。雑誌掲載をきっかけにフォロワー数を大幅に増やし、インフルエンサーとして活躍するようになった学生も多数います。
サロンモデルは、美容室やエステサロン、ネイルサロンなどでの撮影に協力するモデル活動です。私自身も現在、エステサロンの撮影モデルとして活動しており、学生時代にもこのような案件を多く経験しました。比較的気軽に始められる上、美容に関する知識も身につけられます。
専属モデルは、モデル事務所と契約を結び、本格的なモデル業に取り組むスタイルです。事務所から紹介される案件やオーディションを通じて案件を獲得し、雑誌、広告、イベントなど幅広い分野で活躍できます。ただし、契約には責任も伴うため、学業との両立をしっかりと考える必要があります。
学生モデルになる方法

学生モデルになるためのルートは複数あり、自分の目標や状況に応じて選択することが重要です。最も大切なのは「安全で信頼できる応募ルート」を見極めることです。
主な応募ルートとして、まずオーディションがあります。雑誌社や芸能事務所が定期的に開催する公開オーディションは、多くの学生モデルの登竜門となっています。最新のオーディション情報は、各雑誌の公式サイトやモデル事務所のホームページで確認できます。応募の際は、応募資格をしっかりと確認し、必要な書類や写真を準備することが大切です。
モデル事務所への直接応募も一般的な方法です。事務所によって得意とする分野が異なるため、自分の目標に合った事務所を選ぶことがポイントです。例えば、ファッション系に強い事務所、広告案件が多い事務所、学生の育成に力を入れている事務所などがあります。
読者モデルやサロンモデルの募集に応募するのも、初心者にとって始めやすい方法です。特に、美容系のサロンでは定期的にモデル募集を行っており、撮影経験を積む良い機会となります。
ただし、どのルートを選ぶにしても、学校や保護者への説明と理解を得ることが最も重要です。私がモデル活動を始めた当初、両親には正直に活動内容を説明し、学業に支障をきたさないことを約束しました。信頼関係を築くことで、長期的にサポートを得ることができます。
応募時の条件として、一般的に年齢制限、身長の目安、応募写真の提出などが求められます。写真については、プロのカメラマンに依頼する必要はありませんが、清潔感があり、自然な表情の写真を用意することが大切です。スマホで撮影する場合でも、明るい場所で背景をすっきりとさせ、全身とバストアップの2パターンを撮影しておくと良いでしょう。
特に注意が必要な中学生モデル
中学生がモデルになるには、特に慎重な準備と周囲のサポートが必要です。年齢的な制約が多い反面、若い感性と可能性に注目が集まる年代でもあります。
校則への対応と保護者同意は絶対的な必要条件です。中学生の場合、学校によってはアルバイトや芸能活動に厳しい規則がある場合があります。まずは学校の校則を確認し、必要に応じて担任の先生や進路指導の先生に相談することをおすすめします。また、未成年者の芸能活動には保護者の同意書が必須となります。
学校生活との両立の工夫として、私がアドバイスしているのは「優先順位を明確にする」ことです。中学生の場合、学業が最優先であることを理解し、定期テスト期間中は撮影を入れない、授業に支障をきたす時間帯の仕事は受けないなど、明確なルールを設けることが大切です。
撮影現場では、中学生モデルには大人のスタッフが特に気を配ってくれることが多いですが、自分自身も責任感を持って行動することが重要です。時間を守る、挨拶をしっかりとする、指示をきちんと聞くといった基本的なマナーを身につけることで、現場の方々からの信頼も得られます。
高校生モデルになるには
高校生になると、モデル活動の幅が格段に広がります。
部活動や勉強との両立は、高校生モデルにとって重要な課題です。高校生モデルの多くは、効率的な時間管理術を身につけていると聞きます。例えば、平日は学校と部活に集中し、撮影は週末にまとめる、定期テスト前は一定期間モデル活動を休むなど、メリハリのある活動をしているようです。
学生向けオーディションの増加も、高校生にとって追い風となっています。近年、10代をターゲットとしたファッションブランドや雑誌が増え、高校生モデルの需要が高まっています。特に、制服を着用した撮影や学園祭をテーマにした企画など、高校生ならではの魅力を活かせる案件が多数あります。
SNSでの発信力強化は、現代の高校生モデルにとって不可欠なスキルです。InstagramやTikTokでの発信を通じて個人のブランドを築き、企業からの直接的な依頼を獲得する高校生も増えています。ただし、SNSの使用については学校の規則や保護者との約束を守ることが前提となります。
高校生の場合、将来の進路についても考える時期でもあります。大学進学を目指しながらモデル活動を続けるのか、本格的に芸能界での活躍を目指すのか、早めに方向性を決めておくことで、より効果的な活動計画を立てることができます。
大学生モデルになるには
大学生になると、モデル活動において最も自由度が高く、可能性も広がる時期を迎えます。成人としての責任も伴いますが、その分、より本格的な芸能活動への参加が可能になります。
大学生活と芸能活動の両立については、時間管理と優先順位の設定が鍵となります。大学の授業は高校と比べて時間的な融通が利くため、平日の撮影にも参加しやすくなります。しかし、単位取得や就職活動との兼ね合いも考慮する必要があります。私の知り合いの大学生モデルは、1年生のうちに必要単位を多めに取得し、3年生以降はモデル活動により多くの時間を割けるよう計画的に履修していました。
ファッション・広告系の依頼が増える傾向は、大学生モデルの大きなメリットです。20代前半の大学生は、多くの企業にとって重要なターゲット層であり、化粧品、ファッション、ライフスタイル商品など幅広い分野で活躍の機会があります。特に、同世代の共感を得やすい自然な表現力が求められる案件では、大学生モデルが重宝されます。
インフルエンサーとして活動の幅を広げやすいのも、大学生ならではの特徴です。大学生活の様子、ファッション、美容、勉強方法など、多様なコンテンツを発信できるため、SNSでのフォロワー獲得にも有利です。実際に、大学の授業や サークル活動の合間に撮影した投稿が話題となり、企業案件を獲得する大学生インフルエンサーも見られます。
また、大学生の場合は将来のキャリア形成も視野に入れた活動が可能です。モデル活動を通じて身につけた表現力やコミュニケーション能力は、就職活動や社会人生活においても大きな財産となります。私自身も、モデル活動で培った経験が、現在のライター業務に大いに活かされていると感じています。
オーディションと応募のポイント

オーディションや応募を成功させるためには、事前の準備が何より重要です。私がモデル事務所に所属していた頃、数多くのオーディションに参加し、また新人モデルの指導も行った経験から、合格のためのポイントをお伝えします。
最新オーディション情報の探し方として、まず各雑誌の公式ウェブサイトをチェックすることから始めましょう。多くのファッション誌や学生向け雑誌は、定期的に読者モデルやタレントの募集を行っています。また、大手モデル事務所のサイトでは、新人オーディションの情報が随時更新されます。SNSの公式アカウントをフォローしておくと、リアルタイムで募集情報を入手できます。
信頼できるオーディション情報を見極めることも重要です。正当なオーディションであれば、応募条件、選考プロセス、契約内容などが明確に記載されています。逆に、高額なレッスン料を要求したり、合格を確約するような怪しい業者には注意が必要です。
応募書類・写真の準備方法については、まず応募書類を丁寧に記入することから始めます。志望動機や自己PRは、具体的で個性的な内容を心がけましょう。「モデルになりたい」という気持ちは皆同じですが、「なぜそう思うのか」「どんな活動をしたいのか」を具体的に表現することで、審査員の印象に残りやすくなります。
写真については、プロのカメラマンに依頼する必要はありませんが、いくつかのポイントを押さえることが大切です。清潔感のある服装、自然な笑顔、良好な姿勢を意識し、明るい自然光の下で撮影しましょう。全身写真とバストアップ写真の両方を用意し、加工は最小限に留めることが重要です。
自己PR・志望動機の作り方では、自分だけの経験やエピソードを盛り込むことがポイントです。例えば、「中学時代に生徒会長を務めた経験から、人前で話すことに慣れており、撮影現場でのコミュニケーションにも活かせると思います」といった具体的な内容の方が、審査員に伝わりやすくなります。
宣材写真の撮影ポイント
宣材写真は、オーディションにおける「第一印象」を決定する重要な要素です。私自身、多くの撮影を経験し、また現在も定期的に宣材写真を更新している立場から、効果的な撮影のポイントをお伝えします。
カメラマンに依頼する場合のメリットは、プロの技術により、最も魅力的に写る角度や表情を引き出してもらえることです。費用は5,000円から30,000円程度と幅がありますが、モデル活動を本格的に始めたい場合は投資として考える価値があります。カメラマンを選ぶ際は、過去の作品をチェックし、自分の目指すイメージに近い写真を撮影している方を選ぶことが重要です。
スマホで撮る場合でも、工夫次第で十分魅力的な写真を撮影できます。最近のスマホカメラは高性能なので、ポイントを押さえれば問題ありません。まず、撮影場所は自然光の入る明るい室内や、曇りの日の屋外がおすすめです。直射日光は影が強く出すぎるため避けましょう。
全身・バストアップの撮り方については、それぞれ異なるポイントがあります。全身写真では、足先まで入るようフレーミングし、身体のラインがはっきりと分かる服装を選びます。ポーズは自然に立ち、肩の力を抜いて、軽く胸を張る程度が理想的です。バストアップ写真では、表情に重点を置き、目線はカメラレンズの少し上を見ることで、より魅力的な印象を与えられます。
ナチュラルメイク・清潔感は、学生モデルにとって特に重要な要素です。派手すぎるメイクは避け、肌を綺麗に見せるベースメイクと、自然な血色感を演出するチークやリップを心がけましょう。髪型も清潔感を重視し、顔周りがすっきりと見えるようセットします。
面接・自己PRで見られる点
オーディションの面接では、写真だけでは伝わらない人柄や表現力が重要視されます。私がオーディションを受けていた経験や、現在モデルとして活動している中で感じることは、技術的なスキルよりも「人としての魅力」が最も評価されるということです。
姿勢・話し方・表情については、まず正しい姿勢を意識することから始めましょう。背筋を伸ばし、肩の力を抜いて自然に立つことで、自信のある印象を与えられます。話し方は、早口になりがちな緊張状態でも、ゆっくりと明瞭に話すよう心がけます。表情については、自然な笑顔が一番です。作り笑いではなく、心から楽しんでいるような表情を意識しましょう。
面接官との会話では、相手の目を見て話し、相づちを適切に入れることでコミュニケーション能力をアピールできます。学生らしい初々しさを大切にしながらも、礼儀正しい態度を保つことが重要です。
パフォーマンスや特技のアピール方法では、自分の個性を最大限に活かすことがポイントです。ダンスや歌が得意な方はもちろん、スポーツ経験、楽器演奏、語学力など、モデル活動に直接関係なくても、自分らしさを表現できる特技があれば積極的にアピールしましょう。
私が審査を見学した際に印象に残ったのは、書道で全国大会に出場した高校生の応募者でした。一見モデル業とは関係ないように思えますが、「集中力と継続力に自信があります」という自己PRが非常に説得力を持っていました。
重要なのは、特技そのもののレベルの高さではなく、それを通じて培った精神力や努力する姿勢をアピールすることです。面接では、その経験から学んだことや、モデル活動にどう活かしたいかを具体的に話せるよう準備しておきましょう。
学生モデル活動にかかる費用とギャラ
学生モデル活動を始める際に気になるのが、初期費用と実際に得られる収入についてです。私の経験から、現実的な費用とギャラの相場をお伝えします。
撮影に必要な服・メイク・写真代については、活動のスタイルによって大きく異なります。読者モデルとして活動する場合、私服での撮影が多いため、特別な衣装代は必要ありません。ただし、清潔感のある服装を複数パターン用意しておくと良いでしょう。
メイク道具についても、学生の場合は普段使いのコスメで十分です。ナチュラルメイクが基本となるため、ファンデーション、チーク、リップ、アイシャドウなどの基本的なアイテムがあれば問題ありません。
宣材写真の撮影費用は、プロのカメラマンに依頼する場合で5,000円から30,000円程度です。スマホでの撮影であれば費用はかかりませんが、背景や照明にこだわる場合は、撮影用の小道具代として数千円程度を見込んでおくと良いでしょう。
依頼時のギャラ相場は、案件の種類と規模によって大きく変動します。雑誌掲載の場合、読者モデルとしての参加であれば無償から5,000円程度、専属モデルとして活動する場合は1万円から5万円程度が相場です。
広告撮影では、地方の小規模な案件で1万円から5万円、全国規模の企業広告では10万円以上になることもあります。ただし、学生の場合は使用期間や媒体が限定されることが多いため、プロのモデルと比べると金額は控えめになります。
イベント出演については、時給換算で2,000円から5,000円程度が一般的です。撮影時間や拘束時間によって金額が決まるため、事前に詳細を確認することが重要です。
SNS案件では、フォロワー数に応じて金額が決まることが多く、1,000フォロワーあたり1,000円から3,000円程度が目安となります。ただし、エンゲージメント率(いいね数やコメント数の割合)も重要な要素となります。
無償案件と有償案件の違い、注意点について、私の経験から申し上げると、特に活動を始めたばかりの頃は、無償案件も貴重な経験となります。撮影の雰囲気に慣れる、プロのスタッフとの働き方を学ぶ、ポートフォリオ用の写真を増やすなど、金銭面以外のメリットも大きいです。
ただし、無償案件を受ける際は、その理由と条件を明確にしておくことが重要です。「新人育成のため」「作品制作のため」など、正当な理由があるか確認し、撮影データの使用範囲についても事前に合意しておきましょう。
継続的に無償での依頼ばかりを求められる場合は、適正な対価を求めることも必要です。自分の価値を正しく評価してもらうためにも、実績を積みながら徐々に有償案件の比率を増やしていくことが理想的です。
学生モデルの注意点とリスク管理
学生モデルとして活動する上で、様々なリスクや注意点があります。安全で健全な活動を続けるために、私の経験から重要なポイントをお伝えします。
未成年の就労ルールについては、労働基準法により厳格に定められています。18歳未満の場合、午後10時から翌日午前5時までの深夜労働は原則禁止されており、22時以降の撮影には参加できません。また、労働時間は1日8時間以内、1週間で40時間以内という上限があり、時間外労働や休日労働も禁止されています。
これらの規則は、学生の健康と学業を守るためのものです。私がモデル事務所に所属していた際も、未成年のモデルについては特に厳格にスケジュール管理が行われていました。もし、これらの規則を無視するような案件があった場合は、必ず断るか保護者に相談することが重要です。
契約時の注意点として、事務所との契約や広告利用範囲について十分に理解することが必要です。モデル契約書には、活動期間、報酬、肖像権の扱い、専属性の有無などが記載されています。特に学生の場合、卒業後の進路変更に伴う契約解除の条件についても確認しておきましょう。
広告での写真使用については、使用期間、使用媒体、使用地域などが明確に定められているか確認が必要です。一度撮影した写真が予想以上に長期間・広範囲で使用される可能性もあるため、将来への影響も考慮して契約内容を検討しましょう。
高額なレッスン料・スカウト詐欺に注意することは、特に重要な注意点です。正当なモデル事務所やオーディションでは、所属時に高額な費用を請求することはありません。「必ず合格させる」「すぐにテレビに出演できる」などの甘い言葉で勧誘し、高額なレッスン料や写真代を要求する業者は詐欺の可能性が高いです。
私が知っている事例では、「特別なレッスンを受ければプロになれる」という触れ込みで数十万円を請求された学生もいました。このような被害を避けるためには、事務所の実績、所属タレントの活動状況、契約内容などを事前に十分調査することが重要です。
街でのスカウトについても慎重な判断が必要です。正当なスカウトマンは、必ず名刺を渡し、事務所での面談を提案します。その場で契約を迫ったり、個人的な連絡先を聞いたりするような相手は避けるべきです。
保護者・学校との二人三脚が不可欠であることは、学生モデルにとって最も重要な要素の一つです。私自身、学生時代のモデル活動は家族の理解とサポートがあったからこそ続けることができました。
保護者の方には、活動内容、スケジュール、報酬、契約条件などを正直に報告し、重要な決定については必ず相談することが大切です。また、撮影現場への同行や、事務所との面談への同席なども、安全性を確保する上で有効です。
学校との関係では、まず校則でモデル活動が許可されているかを確認することが重要です。学校によっては芸能活動を禁止している場合があり、無断で活動すると処分の対象となることもあります。担任の先生や進路指導の先生に活動内容を報告し、学業との両立について相談することで、こうした問題を回避できます。
また、撮影による欠席や遅刻が必要な場合は、事前に学校の許可を得ることで、出席日数不足などの問題も防げます。活動が本格化する前に、学業への影響を最小限に抑える方法を学校側と相談しておくことが、長期的な活動継続の鍵となります。
学業との両立のために、単位制の高校を選ぶなども必要な選択になるでしょう。
成功する学生モデルの特徴

身の回りにいる成功した学生モデルを見てきた経験から、成功する人に共通する特徴をお伝えします。これらの特徴は、単に外見的な魅力だけでなく、内面的な要素も重要であることを示しています。
SNSフォロワー数とインフルエンサー力は、現代の学生モデルにとって重要な要素となっています。ただし、単純にフォロワー数が多いだけでは不十分で、質の高いエンゲージメント(いいね、コメント、シェアなどの反応)を獲得できることが重要です。
私が見てきた成功している学生モデルは、自分らしいコンテンツを継続的に発信し、フォロワーとの距離感を上手にコントロールしています。学校生活、ファッション、美容、趣味など、多角的な魅力を発信することで、企業からも注目されやすくなります。
フォロワー数の目安として、読者モデルレベルでは1,000人以上、インフルエンサーとして企業案件を獲得するには5,000人以上が一つの基準となります。ただし、ニッチな分野で強い影響力を持つ「マイクロインフルエンサー」として活躍する道もあります。
継続して学業と両立する姿勢は、長期的な成功に不可欠です。モデル活動に熱中するあまり学業をおろそかにしてしまうと、将来の選択肢を狭めてしまう可能性があります。成功している学生モデルは、勉強とモデル業のバランスを取ることで、どちらの分野でも良い結果を出しています。
時間管理能力、優先順位の設定、効率的な学習方法の習得など、両立のために身につけたスキルは、将来の社会人生活でも大いに役立ちます。私自身も、学生時代に培った時間管理能力は、現在のライター業務において重要な基盤となっています。
撮影現場での柔軟性・対応力も、継続的に仕事を得るために重要な要素です。撮影現場では、天候の変化、機材トラブル、スケジュール変更など、予期しない状況が発生することがよくあります。そのような際に、文句を言わずに柔軟に対応できるモデルは、スタッフからの信頼も厚く、次の仕事につながりやすくなります。
また、年上のスタッフやタレントとも適切にコミュニケーションを取れることも大切です。礼儀正しさを保ちながらも、必要な場面では自分の意見を伝えられるバランス感覚が求められます。
「夢を持ち続ける気持ち」の大切さは、最も根本的でありながら最も重要な要素です。モデル業界は競争が激しく、思うような結果が出ない時期もあります。そのような困難な時期を乗り越えるためには、なぜモデルになりたいのか、将来どのような活動をしたいのかという明確な目標と情熱が必要です。
私がモデル活動を続けてこられたのも、「表現することの楽しさ」「多くの人に何かを伝える喜び」という根本的な動機があったからです。一時的な成功や失敗に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で自分の成長と目標達成を見据えることが重要です。
夢を持ち続けるためには、定期的に自分の目標を見直し、小さな成功体験を積み重ねることも効果的です。また、同じ志を持つ仲間や、経験豊富な先輩からのアドバイスを求めることで、モチベーションを維持しやすくなります。
まとめ
学生モデルという道は、確かに多くのチャンスと可能性に満ちています。SNSの普及により個人の発信力が重視される現代において、学生時代からモデル活動を始めることは、将来のキャリア形成においても大きなアドバンテージとなり得ます。雑誌への掲載、企業広告への出演、イベント参加、インフルエンサー活動など、活動の幅は年々広がっており、学生にとって魅力的な選択肢となっています。
しかし同時に、学生モデルとして活動するためには、保護者や学校との密接な連携と理解が絶対的に必要です。未成年者の就労に関する法的制限、学業との両立、安全性の確保など、クリアすべき課題も多く存在します。私自身の経験からも、家族や学校のサポートなしには継続的な活動は困難だったと感じています。
特に重要なのは、信頼できる情報源から正しい知識を得ることです。高額なレッスン料を要求する悪質業者や、法的制限を無視するような案件には十分注意し、常に保護者や学校と相談しながら活動を進めることが大切です。
活動を始める際は、いきなり専属モデルを目指すのではなく、読者モデルやサロンモデルといった比較的始めやすい形から経験を積むことをおすすめします。撮影現場の雰囲気に慣れ、基本的なマナーやスキルを身につけることで、より本格的な活動への道筋が見えてきます。
最後に、学生モデルとして成功するための最も重要な要素は、継続する意志と学業との両立を図る責任感です。モデル活動を通じて得られる経験や人脈は、将来どのような道に進むにしても貴重な財産となります。安全で健全な応募情報を見極め、家族や学校と相談しながら、あなたの夢への第一歩を踏み出してください。